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技術

ネットワークのない場所へ、クラウドを持ち込む。

Vicino AIは、ローカル・アクセス・クラウドシステム(LACS)の構成を実装しています。遠隔のサーバーへの回線を復旧させるのではなく、サービス機能そのものを被災地域へ物理的に持ち込みます。

インフラが壊れる場所

人々は基地局や光ファイバーからなるアクセスネットワークを介してインターネットに接続し、通信ビルと中継網を経て遠隔のデータセンターへつながります。災害時にはまずアクセスネットワークが失われ、基地局は停電し、光ファイバーは切断されます。大規模災害では通信ビルや中継網も損傷し、その先のすべてが停止します。

  1. 01

    アクセス網

    基地局・光ファイバー

    最初に停止

  2. 02

    中継網

    通信ビル

    大規模災害で損傷

  3. 03

    インターネット・DC

    遠隔のサービス

    健全だが到達不能

アクセス網中継網インターネットモバイル利用者家庭の利用者光ファイバー通信ビルデータセンターSNS(ソーシャル)eコマース情報検索災害時に被害を受ける範囲 — 電話・インターネットともに停止
図1:災害時に想定されるICTインフラの被害

LACSの構成

LACSは、周辺地域に一時的なインターネット様環境を形成し、ICTサービスをローカルに提供する可搬型システムです。近隣の人々は自分のスマートフォンで情報を収集・共有し、家族や同僚と連絡できます。中核となる考え方は、サービス機能をローカル領域へ移し、残存または新設されたアクセスネットワークと統合することです。

  • 情報配信
  • 情報共有(SNS)
  • 双方向コミュニケーション(メッセージング)
  • …ほか、日常的に使うサービス

…これらを、インターネットに繋がずローカルの一台で提供

図2:ローカル・アクセス・クラウドシステムの概念

研究の起源

LACSの概念は、2019年に京都の株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の坂野寿和取締役により提案されました。日本政府の研究開発資金の支援を受けて試作機が開発され、一連の実現可能性調査が実施されました。当社はATRからLACSのライセンスを受け、その事業版としてVicino AIを開発しています。

ITU-T L.392

2016年4月に承認されたITU-T勧告L.392は、可搬型ICTリソースユニット(MDRU)を用いた災害管理と、ネットワークのレジリエンス向上および復旧を扱っています。MDRUは、損傷したネットワーク設備を代替するために迅速に展開できる、可搬型に構成されたICTリソースの集合体です。Vicino AIはこの勧告に準拠し、Network-in-a-Box型ソリューションに分類されます。

ITU勧告を読む
LACS試作機の外観。ケースに小型サーバー、Wi-Fiアクセスポイント、バッテリーを収納している。
図3:LACS試作機
項目仕様
通信
接続可能な端末スマートフォン/タブレット/PC
アクセス方式Wi-Fi 802.11a/b/n/g/ac、Ethernet
最大同時接続数5GHz:128 ・ 2.4GHz:128
サーバー
CPUIntel Core i7
主記憶16GB
ストレージ512GB SSD
OSLinux
電源
バッテリー容量50,000mAh
消費電力25W/h
最大稼働時間約8時間
寸法
外形寸法336×300×148mm
重量4.5kg
ソフトウェア
WebサーバーApache2
情報配信情報の一斉配信
情報共有利用者によるコンテンツの投稿と閲覧
コミュニケーション利用者間のチャット
表2:LACSの主要諸元
利用者災害時平常時
国・自治体、消防、警察、病院
  • 災害対策本部での利用
  • 病院など、災害時の活動を支援する他の組織での利用
  • 防災訓練での利用
  • 行政業務での日常利用
被災地・居住地域の住民
  • インターネットが利用できない被災地域における情報配信・共有の手段を提供。
  • イベント時の輻輳トラフィックの分散。
  • 居住地域における日常的な情報共有手段としての利用。
開発途上地域の住民ネットワークインフラが十分でない開発途上地域における、即時展開可能なICT導入手段としての利用。
表1:LACSの想定利用シーン

参考文献

  1. [1]T. Sakano et al., "Disaster-Resilient Networking: A New Vision Based on Movable and Deployable Resource Units," IEEE Network, vol. 27, no. 4, pp. 40–46, Aug. 2013. DOI ↗
  2. [2]T. Sakano et al., "Bringing Movable and Deployable Networks to Disaster Areas: Development and Field Test of MDRU," IEEE Network, vol. 30, no. 1, pp. 86–91, Jan. 2016. DOI ↗
  3. [3]Recommendation ITU-T L.392, "Disaster management for improving network resilience and recovery with movable and deployable ICT resource units," April 2016. ITU-T ↗
  4. [4]R. Teng, T. Sakano and Y. Suzuki, "Instantaneous Networking Service Availability for Disaster Recovery," Appl. Sci. 2020, 10(24), 9030. DOI ↗
  5. [5]T. Sakano, B. Ojetunde, Y. Suzuki, J. N. Llanto and C. Sharma, "Feasibility study of Locally Accessible Cloud System (LACS) conducted in a remote island in Cebu, Philippines," 2nd International Symposium on Disaster Resilience & Sustainable Development, June 2021.
  6. [6]B. Ojetunde, S. Ano and T. Sakano, "A Practical Approach to Deploying a Drone-Based Message Ferry in a Disaster Situation," Appl. Sci. 2022, 12(13), 6547. DOI ↗

他の手段が届かない場所での動作を、ご覧ください。

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